ファスティングの特徴とは?6つのメリットと基本のやり方を解説

更新日:2023.6.2

短期間ダイエットとして注目されている「ファスティング」は、食事制限をかけて胃腸を休めながら、脂肪を消費させていく方法です。10時間以上の間隔を空けて食事に制限をかけるため、健康状態が整っているときに行いましょう。

この記事では、ファスティングの目的と仕組み、期待できる効果について紹介します。準備食におすすめの食べ物や、ファスティングを避けたほうが良い方についても解説していますので、ファスティングに興味がある方はぜひ参考にしてください。

ファスティングとは

ファスティングは、以下のような目的のために行われます。

【ファスティングの目的】

  • ・食べすぎを防ぐ
  • ・胃腸を休める
  • ・デトックスを行う
  • ・腸内環境の改善

気がついたらお菓子や食事を口にしている、1回の食事量が多く食べすぎてしまうという人にとって、ファスティングは胃腸を休める絶好のタイミングです。

「(○日間)余分なものを食べない」と心に決めて行うファスティングは、胃腸にとって嬉しい休息期間になります。胃もたれ・肥満・腸内環境の悪化・むくみといった、食事によって起きるトラブルの改善にも役立つでしょう。

ファスティングの仕組みはとてもシンプルです。固形物を一切口にしない方法と、おかゆのような流動食もスムージーや酵素ドリンクに置き換える方法とに分かれており、健康上問題がなく続けられるほうを選びます。

はじめは16時間、またはそれ以下の時間からスタートし、慣れるにしたがって1日や2日、3日と日数を増やしていきます。

ファスティングは16時間や1日と期間を決めて行い、準備期・復食期も含めたトータルの期間が終わったあとは、元の生活に戻すことができます。1日のみで止めて元の生活に戻し、また食べすぎたときにファスティングを行うといった方法もおすすめです。

ファスティングに期待される効果

ファスティングでは食事量を大きく減らすため、内臓を休めてむくみや肥満の原因を解消する効果が期待できます。期待できる6つの効果についてそれぞれチェックしていきましょう。

①免疫力向上

免疫力とは、体に元から備わっている病気やウイルスへの「抵抗力」を意味します。

人間のもつ免疫力の多くは腸内環境に左右されるともいわれており、腸内を善玉菌が活動しやすい状態に整え、食べすぎを防いで消化吸収のペースを最適化することが、免疫力の向上に役立つとされています。

ファスティングには2つの方法がありますが、どちらも固形物は一切口にしません。硬いものを体内で柔らかくしながら吸収していく必要がなくなり、腸内環境にとっても負担が軽減され免疫力の向上が期待できます

②ダイエットのサポート

食事量を大きく減らして体に取り込みやすい流動食や飲みものに限定するファスティングは、固形物などを体に入れないため消化吸収にかかる負担が軽減されます。

負担の軽減を一定期間続けることで、内臓機能は代謝やデトックスといった部分にエネルギーが使えるようになります。体に溜まっている余分なものをエネルギーとして使いながら、老廃物は外に排泄していくため、ダイエットサポートとして役立てられるのです。

③内臓を休める

日頃から飲食でストレスを発散したり、会食や外食を楽しんでいる方は、知らないうちに大きなストレスを内臓にかけている可能性があります。

ファスティングではただ断食をするのではなく、余分な負担が胃や腸にかからないように抑制し、体を大事にするといった意味もあります。

食事が大好きな方ほど、最低限の水分や栄養素のみの摂取にとどめて、内臓の疲れをいたわってみてはいかがでしょうか。

④デトックス

デトックスとは解毒、毒素排出といった意味をもつ言葉ですが、内臓機能が飲食物の消化吸収にフル稼働をしている状態では、余分なものはなかなか外に排出されません。

スポーツや入浴のように体の循環を促しながらエネルギーを使う方法であれば、老廃物は汗や排泄によって外に出てくれますが、それ以外ではなかなかデトックスをする機会が得られないものです。

ファスティングは、一定期間固形物を摂り入れない方法によって体に元からあるエネルギーを優先的に使用し、消化吸収に活動していた内臓が老廃物の排出にシフトできるようにするものです。

短時間ではあまり効果が得られない可能性がありますが、1日以上継続していくと徐々に余分なエネルギーが使用され、人によっては体のスッキリ感が実感できるでしょう。

⑤肌荒れ改善

内臓機能をいたわり、デトックスを促していくと、肌荒れにも改善効果が期待できるようになります。

もともと油ものや甘いお菓子、刺激物が大好きという方は皮脂の分泌が過剰になりやすく、ニキビや吹き出物ができやすい状態にありますから、普段食べているものを離れるだけでも肌荒れの抑止効果が期待できるでしょう。

⑥むくみ解消

ファスティングのデトックス機能は、むくみの改善にも良い影響を与えます。

塩分の多い食事に偏りやすい方にとっては、ファスティングによって塩分中心の食事から離れられるため、むくみの解消に一定の成果が期待できるかもしれません。

ファスティングの基本的なやり方

ファスティングは、「準備期(準備期間)」「ファスティング期(断食期間)」「復食期(回復期間)」の3ステップに分けて行います。ファスティング期よりも、その前後である準備期と復食期をしっかりと行いましょう。

ステップ①準備期

準備期は、1日以上のファスティングを実施する前に必ず用意したい準備期間のことです。普通の食生活からいきなり断食に入ると胃腸が驚いてしまいますし、あとからカロリーを取り戻そうと暴飲暴食に繋がるおそれも。

ファスティング状態に体を慣らすためには、ファスティング期と同程度の日数を費やすと良いといわれていますが、難しければ2日のファスティング期なら1日、3日なら2日というように、ファスティング期-1日程度の期間を設けると安心です。

準備期は胃腸に負担をかけない程度に食事を行うため、外食・ファストフード・アルコール・晩酌は避けましょう。糖質・塩分・油分をそれぞれ通常よりも減らし、お粥・スープ・うどんといったものをよく噛んで、満足感を感じながら食事を行ってください。

ステップ②ファスティング期

ファスティング期は大きく分けて2種類の方法があります。

1つめは固形物のみを一切摂らずに準備期よりもさらに低カロリーな食事を行う方法、2つめはおかゆすらも摂らずにスムージーや酵素ドリンク、プロテインを含んだドリンクで置き換える方法に分けられます。

1つめは難易度が高くはありませんが、体調を整えるためにも準備期を挟んで胃腸を整えてからチャレンジするようにしましょう。2つめの方法は絶食に近いやり方のため、水分補給や栄養補給だけは忘れずにしっかりと維持してください。

ステップ③復食期

ファスティングを終えたあとの復食期は、今まで食べられなかったぶんを取り戻そうとしてまとめ食いをしてしまう場合があるため、ファスティング期と同じ日数か-1日程度に期間をとって慎重に行いましょう。

物理的にものを口にしていないため、栄養の吸収は非常に良くなっています。この時期にまとめ食いをすると、必要以上に栄養を蓄えてしまいリバウンドにも繋がるため、胃腸に負担をかけない「まごわやさしい」の食事を心掛けてください。

期間別ファスティングのやり方

ファスティングは最短で16時間からスタートし、1日・2日・3日・1週間まで延ばすことができます。1週間以上の長期については慣れていない方にはおすすめできないため、ここでは16時間〜1週間までの期間について紹介します。

16時間

ファスティングの期間は、もっとも短い期間で16時間程度から始められます。通常の食事は6〜8時間ほどの間隔を空けて行いますが、脂質が分解されるのには10時間程度の時間が必要とされています。糖質は脂質よりもさらに時間がかかるため、12時間以上を空けるのが理想的とされています。

16時間のファスティングは、朝と昼、または昼と夜のみの1日2食と決めて、最後の食事からは必ず16時間間隔を空けなければなりません。

たとえば、夕食を抜く16時間ファスティングでは、6時に起床し7時ごろ朝食、13時ごろに昼食をとって、そのまま午後〜帰宅後の時間をファスティングに使います。
昼食を摂りおえた時点でファスティングが始まり、翌朝の7時にまた朝食を摂るようにしてサイクルを作ることができます。

1日

1日間の断食は、16時間のように食事を挟まずに行うため、その前後の「準備期」と「復食期」も必ず行いましょう。

ファスティングを1日とすると、準備期には半日または1日、復食期も同様に半日または1日をプラスして、合計3日間のスケジュールで行います。

準備期は「まごわやさしい」のメニューで糖質や塩分の摂取量を減らし、ファスティング期はさらに食事量を減らします。最終日となる復食期には、おかゆ腸の調子を戻します。

2日間

2日間の断食は、準備期を1〜2日・ファスティング期を2日・復食期を1〜2日プラスして、合計4日間以上のスケジュールで行います。1日以上のファスティングに慣れた方におすすめのスケジュールです。

2日間食事を摂らないため、準備期や復食期はそれぞれしっかりと用意する必要があります。食べすぎてしまう、リバウンドをしやすい方は2日ずつ準備・復食期間に充てることをおすすめします。

3日間

3日間の断食は、準備期を2〜3日・ファスティング期を3日・復食期を2〜3日プラスして、合計7日以上のスケジュールで行います。3日間食事らしい食事を摂らないため、準備期と復食期はしっかりと行い、胃腸をファスティングに慣れさせる必要があります。

5日以上のまとまった日程になるため、中だるみなどには注意しましょう。前半から半ばにかけて順調だったけれどファスティング期を過ぎてから安心し、食べすぎてリバウンドを起こす…といったトラブルに注意が必要です。

1週間

1週間の断食は、準備期を6〜7日・ファスティング期を1週間(7日)・復食期を6〜7日として、合計19日間程度のスケジュールで行います。2週間以上の期間が必要になるため、スケジュールにゆとりがあり、丸3日以上のファスティングに慣れている方におすすめです。

1週間のファスティングが初めての方は、準備期と復食期もそれぞれ7日用意し、さらに準備期の前には数日程度準備期の前段階として固形物を断つ日を設けると良いでしょう。1ヶ月近い期間をファスティングに使うため、根本から食生活を整えたい方に向いています。

ファスティング中に少しでも健康上の不安が出てきたときは、すぐにファスティングを中止してください。

ファスティングの期間はどのように決めればよい?

ファスティングの期間は16時間から1日以上まで設定できますが、無理なスケジュールは組むべきではありません。

常に体調をみながら、ファスティングの目的や達成したい項目が達成できたら、それだけでも合格として負荷をかけすぎないようにセーブしてください。

準備食におすすめの食べ物

準備食に向いている食品としては、うどん・おかゆ・スープなどが代表的ですが、食材にもこだわってみましょう。

胃腸にやさしい食材を選ぶ際には、「まごわやさしい」という頭文字の組み合わせが役に立ちます。

【準備食におすすめの食材】

  • ま:豆類
  • ご:ごま
  • わ:わかめ ※「は」の場合は発酵食品
  • や:野菜類
  • さ:魚類
  • し:しいたけ
  • い:いも類

米やパンなどの炭水化物はいも類や野菜類に、肉や油ものは魚類に変更し、調味にはしいたけを活用するように調理や味つけを工夫すると良いでしょう。

準備食で避けたほうがよい食べ物

胃や腸に負担がかかる食品は準備食の段階から避けたほうが良いでしょう。例として、肉・魚などの動物性たんぱく質は摂りすぎに注意します。

油ものやお酒もファスティングの前は控え、糖分・塩分・刺激物(香辛料など)も復食期を終えるまでは量を口にしないように注意が必要です。

ファスティングをしないほうがよい方

ファスティングに不向きな方として、成長期のお子さんや学生さん、65歳以上の方、妊娠中や授乳中の方は健康のためにも避けたほうが良いでしょう。

なぜファスティングに向いていないのか、詳しい理由をみていきましょう。

成長期の子ども

成長期の子どもは、まだ大人と同じレベルで体全体が成長しきってはいない状態です。体力もしっかりとつけていかなければならないため、口にする食べ物や栄養素が偏らないように注意する必要があります。

ダイエット目的であっても、食事そのものを極端に減らしたり抜いたりするのは控えたほうが良いでしょう。

65歳以上の高齢者

65歳以上になると、加齢による影響が体のいろいろな場所に出るようになります。

食事を減らすと健康に必要な栄養素までカットされてしまうため、ファスティングではなく食事量や食事内容の調整で体調をコントロールするようにしましょう。

妊娠・授乳中の方

妊娠中、授乳中の方はお子さんへの影響も含めて考慮しなければなりません。妊娠中の方はお腹にいる赤ちゃんへの栄養補給が不足し、母体にとってもエネルギー不足によるトラブルが考えられます。

授乳中の方はお腹の赤ちゃんを心配する必要はありませんが、出産後の肉体を整えるという意味でも、しっかりと食事を摂って栄養を補給しなければなりません。

授乳を行う際にも母体に栄養は必要なので、ファスティングで栄養を摂らないと赤ちゃんにも間接的にマイナスの影響を与える可能性があります。

基礎疾患のある方

基礎疾患をお持ちの方は、症状によってはファスティングによって体調を崩すおそれがあります。

既往症への影響も考えられるため、かかりつけの病院の医師または主治医に確認し、許可を得るようにしてください。

健康状態をみながらファスティングに挑戦

今回はファスティングの特徴や準備期・復食期について詳しく紹介しました。年齢や健康状態によってはファスティングに不向きとなる可能性もあるため、主治医や周囲のアドバイスも参考に、ファスティングに挑戦してみてください。

ファスティング期の方法にも2種類あり、固形物を食べないだけでもファスティングとすることができます。はじめから飲み物だけのファスティングは胃腸や精神面に負担となるおそれもあるため、無理のないペースから初めてみてはいかがでしょうか。

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